究極の多焦点眼内レンズ、LENTIS(レンティス)
日本で一般的に使用されている多焦点眼内レンズは、回折型または屈折型の多焦点眼内レンズです。そのうち、現在使用されているのはほとんどが回折型で、レンズの光学部中央から同心円状にリングがデザインされているのが特徴となります。このタイプの多焦点眼内レンズの最大の欠点は、目に入った光エネルギーの約20%が損失となってしまうことと言えます。そのため、「よく見えるのだけれども、何となくシャープに見えない」、「車のヘッドライトのような光の点に、幾重にも光の輪がかかってしまう」といった見え方をする方が少数ながらおられます。そうした欠点を最大限補った多焦点眼内レンズが、ドイツ・Oculentis社製の『LENTIS Mplus X』と『LENTIS Mplus X Toric』なのです。まさに究極の多焦点眼内レンズといえるものです。
Oculentis社製LENTISの詳細はこちら(英文)
LENTISの特徴
LENTIS多焦点眼内レンズの特徴は、左の図のように、遠くを見る部分と近くを見る部分が明確に分かれていることです。こうした構造により、回折型多焦点眼内レンズの欠点であった光学的エネルギー損失を約7%程度にまで少なくしています。その結果、一般的な多焦点眼内レンズに較べて見え方がシャープで、光のにじみが少なく、まぶしさを感じにくいといわれています。
LENTIS Mplus X
LENTIS Mplus Xは、乱視矯正のないタイプの多焦点眼内レンズで、もともと乱視の度数が少ない方向けとなります。一般的な眼内レンズと同様に0.50ディオプターきざみでの度数選択となりますが、日本で一般的に使われている多焦点眼内レンズよりもさらに強度近視・強度遠視の方にも適応する度数を用意してありますので、そうした方々にも多焦点眼内レンズのメリットを享受していただけます。
LENTIS Mplus Toric
LENTIS Mplus X Toricは、乱視も矯正できるタイプの多焦点眼内レンズとなります。しかも、度数は0.01ディオプターきざみですべて患者さん一人ひとりにあわせて完全オーダーメードで作成されるため、世界に1枚しかない、自分専用の多焦点眼内レンズとなります。乱視がある程度以上強いと、手術後でも裸眼では視力がでにくくなります。乱視矯正効果のある眼内レンズを使用することで、乱視を減らし、術後の裸眼視力の向上が望めます。なお、この多焦点眼内レンズは完全オーダーメードであるため、発注から納期まで約6週間かかります。手術の日程もこれを考慮した上で決定されます。
LENTIS多焦点眼内レンズに関わる費用について
当院で多焦点眼内レンズを用いた白内障手術をする場合、通常は選定療養として取り扱いができますが、LENTISは日本未認可の眼内レンズとなりますので、術前・術後の検査・診察・投薬を含めすべて自費診療となり、先進医療としての扱いはできません。
またLENTISは発注後のキャンセルはできません。そのため、眼内レンズの発注時にLENTIS Mplus Xでは170,000円+消費税(片眼につき)、LENTIS Mplus X Toricでは220,000円+消費税(片眼につき)を前金としてお納めいただき、患者さんのご都合でキャンセルする場合にはその前金をキャンセル料に充当させていただきますのでご了承下さい。
当院におけるLENTIS多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の費用は以下の通りとなります(1ユーロ=130円時の価格です)。
術前検査費用 | 50,000円+消費税 |
LENTIS Mplus X (片眼) | 565,000円+消費税 |
LENTIS Mplus X (強度近視用・片眼) | 570,000円+消費税 |
LENTIS Mplus X Toric (片眼) | 620,000円+消費税 |
手術費用には術後1ヶ月までの検査費用・診察料・薬剤費が含まれます。
LENTIS多焦点眼内レンズに興味を持たれましたら
このように非常に高機能な多焦点眼内レンズではありますが、一方でまた完璧なものでもありません。LENTIS多焦点眼内レンズには固有の特徴がありますので、ご興味をもたれましたらまずは担当医とご相談されることをおすすめします。