硝子体手術について
硝子体は、眼球容積の4/5を占めるゼリー状のドロドロした組織です。増殖糖尿病網膜症などの網膜硝子体疾患は、網膜と硝子体の関係性から生じているものが多く、そのため硝子体を網膜から分離し、硝子体を手術で取り除くことによって病状が改善されることが知られています。そのための手術が『硝子体手術』と言われるものです。
硝子体手術は、眼科手術の中で近年もっとも進化した手術の一つです。数年前までは、手術器具の太さが20ゲージ(20ゲージは径0.9mm)のものしかなく、切開創は必ず縫わなければなりませんでしたし、手術中に網膜に孔を開けてしまう合併症も比較的多く見られました。数年前からは20ゲージよりも細い手術器具が開発され、今では23ゲージ(径約0.7mm)、25ゲージ(径約0.5mm)での『極小切開硝子体手術』が標準となっております。極小切開硝子体手術では手術中の合併症頻度が大きく低下し、手術時間も大幅に短縮されるようになりました。切開部位を縫う必要も少なくなりました。なにより術後炎症の出方が極端に少なく、術翌日でも手術した痕跡がほとんど見られないことすらあります。
そうした極小切開硝子体手術の特徴から、近年では難易度の高い硝子体手術においても日帰りで行う施設が増えてきました。当院では25ゲージ硝子体手術システムを用いて極力患者さんに負担の少ない手術を目指し、積極的に日帰り硝子体手術を行っております。
しかし、網膜硝子体疾患は疾患ごと、あるいは同じ疾患においても病状ごとに手術の難易度が大きく変わってきます。そのため、すべての硝子体手術が日帰りで行えるものではありません。術後管理が非常に重要な場合などには入院による治療も必要です。そのような患者さんには入院の必要性をお話し、獨協医科大学越谷病院をはじめとする高度医療機関をご紹介しております。